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筆者が若かりし1970年代には、良い音を求めて家を増改築するといった事例も珍しくなかった。教会オルガンの重低音を再生するため、2階建てをぶち抜いてコンクリート製の巨大ホーンを作り付け、ウーハー(低音用スピーカー)にした、といった猛者も友人にいる。レコードプレーヤーは振動を極力抑えるために、地下深くに杭を打ち込み、その上にプレーヤー台を載せ、プレーヤー筐体は重い大理石を使ってターンテーブルを載せる。薄給の我が身には、縁のない話だが、本格オーディオというものはそういうものだった。
その後、ビニールのレコードは無くなるわ、据置型のスピーカーは一般家庭から姿を消すわでオーディオは一握りのオーディオマニアの間での密かな楽しみになってしまった。バブル景気が吹き飛んだ後の庶民のリビングルームにスピーカーだけで数百万円は支出できない。一方で、デジタル技術とその生産技術が飛躍的に向上し、低価格なのに、良い音がするコンポが市場を席巻、さらに、映像の世界にサラウンド技術が普及してきて、かつては何百万円もかけなければ実現できなかった音場再生が数十万円でできる時代になってきた。
しかも、最高の音源をコレクションしておくためのデバイスは数万円のiOS機が担ってくれる。本当に良い時代になったものだ。今回紹介したAVサラウンドレシーバーは5万円から13万円台の3種類。この価格で100W前後クラスのマルチチャンネルオーディオ母艦が手に入る。サラウンド環境を完成させるにはこれにスピーカーを5~8本用意する必要があるが、4万~5万円から数十万円というところだ。